英検準1級・1級読解問題攻略法
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英検準1級・1級読解問題攻略法

英検準1級・1級試験に合格するためには、目安としてそれぞれリーディングで18点取る必要がありますが、問題はなかなか難しくて量も多く、時間が足りないか、時間ぎりぎりの人が多いようです。

 

私は2010年度第3回目の内容一致の問題に関して、パッセージを全く読まずに問題文と選択肢だけを読んで8割以上の正解をしましたが、リーディングで合格点を取るためにはすばやく正確に問題を解く必要があり、それは大きく「読解力そのものの基礎体力をUPさせること」と「読解問題攻略法を会得する」の2つの要素に分けることができます。前者は、語彙力・背景知識力UPや速読トレーニングなど長期的努力によって高めることができますが、後者は「パターン分析力」を養うことで可能となります。今回は以上に紹介するような読解問題をすばやく解いて全問正解する秘訣を、実際の英検準1級・1級の問題を用いて伝授致しましょう。

 

まず、準1級内容一致問題1つ目のパッセージのタイトルは”Paradise Lost?”ですが、このタイトルから環境問題に関するものであることが容易に推論できます。このようにタイトルで内容が推論できる「背景知識力」は非常に大切で、背景知識が豊富で「1を聞いて10を知る」ようなタイプの方なら、このタイトルだけで本文を読まずに問題が解くことができますが、少なくとも英検受験者であればタイトルと問題と選択肢から内容が予測できる「1を聞いて3を知る」レベルに至りましょう。つまり、このタイトルから今まで素晴らしいとされていた環境スポットが失われる危機にあるのか?」というところまで予測できればまずまずというわけです。

 

ちなみに英語道の開祖、松本道弘氏によれば、タイトルと写真だけで、記事を読まなくても何が書いてあるか予測できれば「英語道3段」としており、これは英語基礎体力UPと関連していますが、普段からタイム、ニューズウィーク(日本語版でもいい)、エコノミスト、CNNBBC、ディスカバリー、サイエンティフィックアメリカンなどを通じて「背景知識力」を十分にUPしておく必要があります。

 

次に、問題に付属する3つの設問からも話の内容を推測できます。32番の”What does the author of the passage say about erosion on Waikiki Beach?”からは「浸食に関する筆者のコメント」、33番の”The beach restoration project sponsored by the Hawaii state government and Kyo-ya will”からは「政府の再建計画の効果」、34番の”What is the opinion of some critics of the beach restoration project?”からは「再建計画に対する評論家の感想」が問われていることがわかります。つまりタイトルと以上のような設問から、「ワイキキビーチで起こっている浸食対策が功を奏しているのか」を頭に入れて速読すればいいわけです。

 

問題順に選択肢を見てみると、32番の「浸食に関する筆者のコメント」に対して、

1. It was initially blamed on natural climate change even though there was little evidence to support this. (当初は気候が原因とみなされていた) 「原因」

2. It was significant in the early 1900s but began to show signs of lessening when barriers were built. (最初はひどかったが柵でましになって来た) 「改善」

3. It has been made worse by property owners trying to prevent their land from being damaged.

(不動産所有者の対策が裏目に出た) 「原因」や「悪化」

4. It has already caused a steady decrease in the number of tourists staying in the area’s hotels.

(浸食によって観光客がどんどん減少した) 「影響」

 

となっていますが、皆さん解答を予測できますか。リーディングの攻略法はリスニング問題の時と同

じく①「共通項目を見抜け」、②「毛色の違うものを除去しろ」2つがあります。

そうすると、まず共通項目として「浸食の原因」に関連する1番目の「気候」と3番目の「不動

産所有者の対策失」が挙げられます。次に、「浸食状況の進行」について2番目の「ましになった」と3番目の「ひどくなった」が共通する選択肢です。そして4番目は全く毛色の違う選択肢ということになります。そうすると、確率的には共通項目の「1番と3番」、「2番と3番」で考えると、3番が正解になる可能性が高くなるわけです。

 

この問題は解答部分が本文中の、”A further cause, however, has been the construction of seawalls

-structures that, ironically, erected by property owners to protect the areas of shorelines they

own.”を言い換えた3番が正解です。前半の”A further cause”を選択肢で”has been made worse”「言

い換え」で、後半の”the construction of seawalls-structuresprotect the areas of shorelines they

own””prevent their land from being damaged”「一般化」しており、「類語言い換え+一般化

(個々の事例の概念化)」の複合型問題です。誤答(distracter)のレベルは低くて消去しやすく、また第1

段落に記されているので答えも発見しやすく、この問題のレベルは、上からAランク:1級難レベ

ル」Bランク:1級やや難[1級難]レベル」、「Cランク:1級普通レベル[1級やや難]レベル」、

Dランク:1級簡単[1級普通]レベル」、「Eランク:1級非常に簡単[1級簡単]レベル」5

階のうち、迷わずに簡単に解けるDランク」の問題です。

 

33番の問題「政府の再建計画の効果」に対する選択肢は、

1. prove unpopular with some hotels as it means Waikiki Beach must be closed for a period of time.(反対するホテルがある) 「反対意見」

2. provide tourists with an alternative to Waikiki Beach by improving the condition of lesser-known beaches nearby.(近くのビーチ改善になる) 「改善」

3. create a larger area of beach for public use while helping to maintain the health of the ocean.

 (海洋の体質維持と同時にビーチ拡大をする) 「改善」

4. involve transporting sand from beaches in other parts of Hawaii to replace the sand that has been lost.(失われた砂に変わる砂を搬入せねばならない) 「必要条件」

 

となっていますが、皆さん「共通項目」はわかりますか。2番と3番で非常にセンテンスパターンも

似ているのに対して、1番と4番はそれぞれ全く毛色が違うことがわかりませんか? 正解は3番で、

解答部分は、第2段落の5行目以下の、”The $4 million Kyoo-ya project will widen Wikiki Beach by

pumping in sand from a short distance offshoreessentially replacing sand that has been

washed away. Aside from providing beachgoers with additional space, it is also hoped this will

improve the marine environment by clearing excess sand from the seabed”ですが、この問題は

やや誤答(distracter)のレベルが高く、注意して読まないとひっかかってしまうかもしれません。

 

1番の選択肢は問題無いとして、2番はなかなかきつく、本文中の③のproviding beachgoers with

additional space”、④のimprove the marine environment by clearing excess sand from the seabed”

と、非常に表現の型を似せて巧みなdistracterを作っているのでつい選んでしまいそうですが、注意

して読むと、本文中の③はadditional spaceは面積を広げることであってalternative(それと別のも

)とは言ってはいないし、④は選択肢のlesser-known beaches nearby(近くの無名なビーチ)とは食

い違っており、間違いであることがわかります。また、4番の選択肢も、本文をバシバシ用いて答え

らしく見せかけていますが、注意して読むと”pumping in sand from a short distance offshore(近くの

沖合いから)””from beaches in other parts of Hawaii(ハワイの他の地域化から)”と食い違っていま

す。

 

時間が足りなくて焦って来ると、頭に血が上ってまともな思考が働きにくくなり誤答を選んでしまう

ケースが多々あります。そこで昔からよく言われている重要な格言が、”In general, wrong answers

are designed to look like correct answers.”で、誤答というのは概して(75%以上)本文をばしばし用い

て答らしく見せかけて微妙にどこかを変えて作っています。ですから答えがわからなければその裏を

かいて、本文の語句をあまり用いずに言い換えた選択肢を選んでいきましょう。

 

こういったきついdistracter(誤答)に対応する上でも、前述の「選択肢解答絞込み」テクニックが役に

立ちます。「共通項目」の「改善」で2番か3番の選択肢に絞れれば、まず誤答の4番のトリックに

はまることはないでしょう。そうすると2番か3番にフォーカスできるので時間的に余裕を持って対

処でき、落ち着いて選択を吟味でき、「言い換え」や「わな」を見抜くことが出来るわけです。この問

題は、”widen Waikiki Beach””create a larger area”で、”will improve the marine environment

by~””while helping to maintain the health of the ocean”で言い換え、前者「類語言い換え型」+後

imply型」の複合問題です。しかも他の選択肢がきついので、この問題のレベルはCランク」

と言えます。

 

34番の「再建計画に対する評論家の感想」に関する問題は、

1. To effectively deal with further erosion, it is necessary to change current rules concerning property development.(浸食対策には現行の規約変更が必要) 「打開策」

2. Hotels supporting the project have put more emphasis on the needs of tourists than those of Waikiki residents.(観光客のニーズを重視) 「変更点」

3. Similar efforts in the future will be difficult because local property owners have indicated they will refuse to cooperate. (地元不動産所有者の反対で難航模様) 「展望」

4. The cost of the project should be entirely covered by the business that will directly gain from its completion.(費用は関連業者が負担が必要) 「打開策」

 

となっていますが、皆さん「共通項目」はわかりますか。そうですね。1番のit is necessary to ~と、

4番のshould be ~でわかるように「打開策」です。本文の解答部分は第3段落4行目の”Some of the

project’s critics say that to keep this from happening, the government needs to ban further

development on the shoreline(海岸線の更なる開発を禁止すべき).”で、それを”change rules 言い換

えて「一般化」した1番が正解で、問題レベルは、他の選択肢もdistracterのレベルが高くなく消去

しやすく、「Dランク」問題です。

 

皆さんいかがでしたか。少しはコツがわかってきましたか。このようにして読解問題を解いて行く訳

ですが、それはAランク、Bランク問題とて同じです。正解の選択肢のパターンには、「TOEIC TEST

これ1冊で990点満点(明日香出版)」でも書いたように、「類語言い替え型」、「一般化型」、「imply型」

などがあって、それらの組み合わせで問題が難しくなって行きます。また 問題レベルは、問題の回答

部分が1段落ごとに順番に来るのではなく、2段落にまたがったり前後したりする、読者を戸惑わせる

「揺さぶり」の度合いによっても変わってきます。とにかくどんな難問でも攻略できるように「英語

基礎体力」と「問題攻略スキル」の両方を磨いておきましょう。

 

それでは今度は英検1級の穴埋め問題を用いて、「穴埋め読解問題攻略法」を披露致しましょう。今回、

読解問題で満点クラスの人でも間違いの多かった難問は31番の問題で、それを含むパッセージ、

”Touching Questions”を扱ってみましょう。

 

 

まず第1段落の29番の問題に関しては

(第1文)最近タッチングの重要性が叫ばれており、

(第2文)明らかなメリットは安心感を与えることである。

(第3文)しかし、タッチングの影響は( 29 )ではない。

(第4文)ストレスホルモンを減少させ、社会的絆を深めるホルモンを増大させ、

(第5文)よく撫ぜられた子供は体重まで多く増えるという。

 

この文脈で、選択肢は無くても「それだけではない」と見当がつくぐらい簡単な問題でしょう。

選択肢は、1. easily detected  2. beneficial to people  3. merely psychological  4. worth

investigatingなので、正解は容易に2番だとわかります。これは日本語で書かれてあれば中学入試の

国語の問題と言った感じで、英検1級では「DCランク」、準1級では「CからBランク」の問題で

す。このように穴埋め問題では、but, however, yet, still, neverthelessなどを用いた「コントラスト状

況」の問題の頻度がもっとも高く、「二重否定」を使った問題はレベルが高くなります。例題の場合、

by no means(決して~ではない)を用いて若干難しくしてあるものの、たいていの人が知っていると思

われるので簡単な問題と言えます。ちなみに、この段落でのトピックセンテンス(主題文)は第3文で、

それを例証するのは次の第45文となっています。

 

次に第2段落目の2番の問題も比較的簡単でしょう。

(第1文)最近の研究によってスキンシップは高度な( 30 )でもあるとわかった。

(第23文)心理学者の「タッチングによる感情伝達実験」で

(第45文)タッチされる方が目隠しをされ、タッチする方は色んな触り方をし、

(第6文)触られた後でどんな感情かを当てる。

(第7文)すると偶然では1割程度のものが5割から8割の正答率を挙げた。

 

この段落では第1文がトピックセンテンスでそれ以下の文はサポート部になっており、文脈がつかみ

やすいと思います。選択肢は、1. form of play  2. means of communication  3. way of measuring intelligence  4. method of defenseで、文脈から容易に2番が正解であるとわかる、同じく英検1

では「DCランク」、準1級では「CからBランク」の問題と言えます。

 

最後の第3段落の3番の問題は厄介です。

(第12文)スキンシップは米国ではいいで思われがちだが、実際はそうではない。

(第3文)事実、タッチング問題は( 31 )わけではなく、

(第4文)性的虐待事件の横行する中で、多くの学校は「タッチング禁止」政策を取り始めている。

(第5文)生徒にスキンシップを禁止したり、違反者を罰するのはやり過ぎとの声もあるが

(第6文)ストレスに悩む子供の癒しであるスキンシップは今や米国でタブーになりつつある。

 

トピックセンテンスは第6文で、それ以外の文はそのサポートになっています。31番の問題が難しい

のは、it is not that~と「否定構文」で始まっていて、しかもその前文の”This could not be further from

the truth.(これ以上事実から遠くなることは無いだろう→事実ではない)となる構文が見抜けない場

合でしょう。それがわかれば、選択肢1. is being overlooked(見逃されている)  2. has people

concerned(人々を心配させた)  3. has relevance today(今日に当てはまる) 4. could involve

children’s welfare(子供の幸福に関わる)の中で、少し考えれば解答できるでしょう。つまり、「スキン

シップは良くない、タブーである」を否定にして作れるもの1が正解になるわけです。このように穴

埋め読解問題では話の流れをつかんでコントラスト文脈を見抜き、たとえそれが2重否定であっても

正解できるようにトレーニングをする必要があります。この問題は間違った人が多く、穴埋め問題と

してはAランクの問題と言えます。

 

このように穴埋め読解問題では、話の流れをつかんでコントラスト文脈を見抜き、たとえそれが2

否定であっても正解できるようにトレーニングをする必要があります。

 

穴埋め読解問題のレベルは、29番や30番の問題のように前後の文脈だけで簡単に解ける問題、31

の問題のように前後だけで解けるが語彙・表現、二重否定などでハイレベルのものと、2段落以上にま

たがって文脈判断をしなければならない難問に大別でき、ランクは3つ目のタイプがAランク、2

目はBA1つ目はCからDランクと言えます。31は間違った人が多く、Aランクの問題と言えま

す。Bランク以上の問題に対処するには攻略法がいります。

 

さて皆さん、このように読解問題を解くには、語彙力、文法力、背景知識、論理的分析力といった基

礎体力と、様々な難問に対処できる攻略法を学ぶ必要があり、特に後者は直前対策で極めて重要です。

あと一歩で合格のチャンスを逃していらっしゃる方は是非会得して、合格へのパスポートをゲットし

ましょう。それでは皆さん、明日に向かって

        Let’s enjoy the process! (陽は必ず昇る!)

 

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